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『キャノン先生トばしすぎ』の後ろ向きな感想 

カテゴリ:駄文

先日、☆2ちゃんねらーが選ぶエロマンガ大賞2007☆についての
記事を書きました。実質は葉雨たにしさんの紹介でしたけど。

でそれから後に、古本屋でゴージャス宝田さん
『キャノン先生トばしすぎ』を偶々見かけました。
大賞2007において堂々の一位を獲得した作品ですね。
通常版でしたが、美品で値段も半値くらいだったので
物は試しにと購入しました。

「えろまんがとぴっくす」さんが最近レビュー記事を
サルベージされたようでこちらにあります。
それに便乗させてもらい、この作品の感想をもって
今年一年の総括としようかと思います。

そもそも私の脳内データにおいてゴージャス宝田さんの名前は、
NG作家に分類されていました。今まで読んだことはありませんでしたが
ネット上の風聞では、凌辱系の作家さんであると言う事だったので。

しかしこの『キャノトば』は、凌辱では無いと。それに一位だし。
そんな訳で、今回の話題作りに購入と相成ったのです。

まず感想は結論から書きましょう。作中の言葉を借りると、
「凄いマンガ」でしたが、「上手いマンガ」ではなかった。
それはちょっと言い過ぎか。少なくとも「使えるマンガ」では
なかった。私としては、これは無いなということです。



少し、話は逸れるのですが、「医療化社会」と云う言葉を
皆さんはご存じですか?ちょっとうろ覚えなので
正確な言葉では無いかもしれませんが。詳しくはググってください。

を挙げると、こうです。凶悪犯罪の被告人に対して、昔なら
「こんなひでー奴は、気違いだ。死刑だ。死刑にしろ。」
で済んだのです。しかし、最近では事情が変わり
「被告人の成長環境に問題があった云々。心の闇の解明がまだだ云々。」
てなヤヤコシイ事をやっておりますな。

「罪」に対して「罰」を、ではなく「罪」を犯してしまうような
「病気」に対して「治療」を、と言うよな風潮ですね。
物事を何でも病気と治療の関係にして考えてしまう社会の傾向です。

これは極端な例ですので、賛成する人はあまり多くは無いかもしれません。
しかし、性同一性障害PTSDなど、昔は「気違い」や「臆病者」で
済ませていたものが、最近「病いの一種」であると認められつつあるでしょう。
これもまた「医療化社会」の例の一つなのです。用語あってんのかな?心配。

で何が言いたいかと言うと、キャノン先生の異常な性に対する関心
治療が必要な「ビョーキ」だろうと言う事なんです。
治療と言うと大袈裟かもしれませんが、チョイ前のACのCMにあった
「抱きしめるという会話」と言うヤツです。
愛情を伴う精神的ケアですな。それも早急に必要かと。
間違っても「ヤリまくり」てのは、無いだろう。

最初のページに「フィクションです。」と大書きされているのに
何を下らないことに拘っているんだ?と言われるでしょう。ご尤も

しかし、先日のAVの話でも触れたように、普通(であるはず)
12歳の少女があそこまで異常だと、どうしても気になってしまうんです。
この作品以外でも「異常に淫乱な女性」は駄目なんです、私。
まったく損な性分ですね。でもやっぱねーってあんなの。

さてもう一つが、貧太の方の問題です。この作品一見すると
彼の成長物語に受け取れるかもしれません。
しかし、最初の駄目人間っぷりもそうですし、
最後においてもキャノン先生の助力でやっとどうにかなったと言う
かなり中途半端な状態です。

せめてしっかり一本立ち出来れば良かったのに。
感情移入が出来ない主人公ですね。最後に熱血になるのなら
それまでの自堕落ぶりがイタ過ぎです。

あと、私が良いと思えないのは、もっと構造的な問題
あるように感じますね。設定である背景かな。
エロマンガ家の話という作者のホームグランドであって私には疎い「業界」の話。
取っ付き難いジャンルですよね。作家さんからしたら描き易いでしょうけども。

さらにヒロインのキャノン先生のキャラクターです。
かわいいロリで、とんでもない淫乱で貧太の収入を
倍にしてくれるというとても有り難い才能の持ち主。もう天使超えて
あまりにも作者の願望がダダ漏れし過ぎです。願望の過積載ですよ、これ。

に私は、「クリエイターは作品が全てである」と言いました。
作者が不細工であろうが、駄目人間であろうが関係ありません。
あとがきで、自分の性癖を暴露するくらいなら構わないのです。
しかしそれは、作者が作品において「創造主=神」であるかぎりです。

この作品では、「ルンペン貧太=ゴージャス宝田」と言う感じがして
とても嫌でした。感情移入するのにまるでフィルターが掛かっている様です。
私は宝田さん本人を全く知りません。もしかしたら女性なのかもしれもせん。
実際には貧太とは似ても似つかない人物なのかもしれません。
ですが少なくとも私は「貧太=宝田さん」と感じざるを得ませんでした。
それが、たまらなく不快でした。神でいてくれ、登場人物に降りてくんな、と。

こちらの性欲が処理されるのではなく、作者さん自身の性欲が
描いたことでスッキリしてしまっている様な感じです。
使用済みオナホ渡されても、オレにどうしろと?ってなもんです。
作品にかける情熱はビンビンに感じられます。しかしエロにかける情熱
ストーリーにかける情熱が私の中でどうしても、
不協和音になってしまうのです。
アブノーマルでかつ感動できるというのは両立しないようです。私テキに。

随分長々と批判めいた事を書き連ねました。まあ、変態的なまでの性描写
あるので人によっては満足できるでしょう。(ウチ的にエロいとは言い難い。)
というかネチネチとケチを付けているのは私くらいでしょうしね。
隠れオタがキャラとは言えオタクを開けっ広げにしているのに対して
やっかんでいるだけなのかもしれません。はあ、ヤナヤツだな。

まあ、ぬいぐるみ出産一家団欒凌辱プレイ扇風機オナとか
独創的で非常に卑猥な場面の描写は
普段鬼畜や凌辱が許せない私でも開いた口が塞がらないくらいでした。
これは、褒めています。真似出来る人がいないだろうと。

ただ異次元テレビは、テレビではなくビデオカメラにするか
キャノン先生自身が被るべきだったのでは?と思います。でもそれじゃ
ヌケナイかもしれませんね。でももう最初から使用度外視のマンガにしたら、
どうだろう?それなら私がイラつくこともなくなるでしょうにね。
あれ、なんか不思議です。何故だろう?


さて、これで今年の記事は、お仕舞いです。
これも予告投稿にセットしておきますので。
皆さん、良いお年を
お迎えますようお祈り申し上げます。



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(2008/01)
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